昼に電気を使わない家庭が考えるべき選択肢

  • 2026年2月14日
  • 2026年2月7日

「昼間は電気を使わないから、蓄電池は元が取れないのでは?」とお悩みではありませんか。結論として、昼間の電力消費が少ない家庭は、高額な導入費用に対し電気代削減効果が薄く、一般的に蓄電池が向かないと言われるのは事実です。しかし、割安な深夜電力の活用や卒FIT後の自家消費、災害対策など、ライフスタイルによっては導入メリットが上回ることもあります。本記事では、蓄電池が向かない理由と向いている家庭の特徴、さらにV2Hやエコキュートといった代替案まで徹底解説します。この記事を読めば、あなたの家庭に最適なエネルギーの選択肢が必ず見つかります。

1. 昼に電気を使わない家庭に蓄電池は向かないと言われる理由

太陽光発電を導入している、あるいは検討している家庭の中で「日中は仕事や学校で誰も家にいない」というケースは少なくありません。一般的に蓄電池は、太陽光で作った電気を貯めておくことで電気代を削減できるとされていますが、ライフスタイルによってはその恩恵を十分に受けられない場合があります。

なぜ「昼に電気を使わない家庭」には蓄電池が向かないと言われるのか、その主な理由は導入コストに対する回収期間の長さと、ライフスタイルによる電気の消費パターンの不一致にあります。ここでは、その具体的な理由を3つの視点から解説します。

1.1 太陽光発電の余剰電力を使いきれないデメリット

昼間に電気を使わない家庭では、太陽光発電で生み出された電力のほとんどが「余剰電力」となります。蓄電池があればこの余剰分を充電に回すことができますが、ここで問題となるのが「蓄電池の容量」と「夜間の消費量」のバランスです。

蓄電池にたっぷりと電気を貯めたとしても、夜間にその電気を使いきれなければ、翌日の発電分を貯めるスペースが蓄電池になくなってしまいます。つまり、せっかく発電した電気を貯めることも使うこともできず、無駄にしてしまう(あるいは安値で売電せざるを得ない)サイクルに陥る可能性があります。

家庭での電力消費サイクルが以下のようになっている場合、蓄電池の稼働率は著しく低下します。

1.1.1 蓄電池が有効活用できないサイクルの例

  • 昼間:不在のため電気を使わない。太陽光発電がフル稼働し、蓄電池はすぐに満充電になる。
  • 夕方〜夜:帰宅時間が遅く、寝るまでの時間が短いため電気をあまり消費しない。
  • 翌朝:蓄電池の残量がまだ多く残っているため、翌日の太陽光発電分をほとんど充電できない。

このように、電気を「貯める」ことと「使う」ことの循環がうまくいかない家庭では、高価な設備が無駄になってしまうリスクがあります。

1.2 高額な導入費用に対し電気代削減効果が薄い

蓄電池の最大のネックは、依然として高額な導入費用です。一般的な家庭用蓄電池の設置費用は、容量にもよりますが100万円〜200万円以上かかることが珍しくありません。この初期費用を「毎月の電気代削減額」で回収しようとした場合、昼間不在の家庭では計算が合わないことが多くなります。

蓄電池による経済メリットは、主に「電力会社から買う高い電気を減らす」ことで生まれます。しかし、もともと電気使用量が少ない、あるいは夜間の消費も限定的である場合、削減できる金額の幅(しろ)そのものが小さくなります。

電気使用量による投資回収イメージの比較
比較項目 電気を多く使う家庭 昼も夜もあまり使わない家庭
月々の電気代削減額 約10,000円〜25,000円 約3,000円〜6,000円
年間メリット 約12万円〜30万円 約3.6万円〜7.2万円
200万円回収にかかる期間 約6年〜16年 約27年〜55年

上記の表のように、電気をあまり使わない家庭では、蓄電池の寿命(一般的に10年〜15年程度)が来るまでに元を取ることが物理的に難しくなります。「電気代が安い」ということは、裏を返せば「節約できる金額も少ない」ということであり、投資対効果の面で蓄電池は不向きと判断される大きな要因となります。

1.3 売電単価が高いFIT期間中は売ったほうが得になる

太陽光発電を設置してから10年間は、国が定めた固定価格買取制度(FIT)により、高い単価で電力を電力会社に買い取ってもらうことができます。特に数年前に契約した家庭の場合、売電単価が現在の電気料金単価(電力会社から買う電気の価格)よりも高く設定されていることがあります。

この「売電単価 > 買電単価」の状態にある場合、発電した電気を蓄電池に貯めて自分で使うよりも、そのまま売って現金収入を得て、必要な電気は電力会社から安く買ったほうが経済的に得をするという逆転現象が起きます。

昼間家にいない家庭は、発電した電気のほとんどを売電に回せるため、FIT期間中はこのメリットを最大化できます。しかし、ここに蓄電池を導入して無理に自家消費へ回してしまうと、本来得られるはずだった売電収入をみすみす捨てることになりかねません。

したがって、FIT期間がまだ長く残っている家庭、かつ昼間の消費が少ない家庭にとっては、蓄電池の導入は経済的な損失につながる可能性が高いと言えます。

2. 昼間不在でも蓄電池を導入するメリットはあるのか

「昼間は仕事や学校で家に誰もいないから、蓄電池は必要ない」と考えていませんか?
確かに、昼間の電気使用量が少ない家庭では、太陽光発電の電気を自家消費する機会が減るため、一見すると蓄電池の恩恵が薄いように感じられます。しかし、ライフスタイルや契約プランによっては、昼間不在の家庭こそ蓄電池のメリットを最大化できるケースも少なくありません。

ここでは、昼間電気を使わない家庭でも蓄電池を導入する価値がある3つの理由を解説します。

2.1 安い深夜電力を貯めて朝晩に使う経済効果

昼間不在の家庭の多くは、電気の使用が「朝」と「夕方以降」に集中します。
このライフスタイルと相性が良いのが、オール電化向けなどの「時間帯別料金プラン」と蓄電池の組み合わせです。

時間帯別料金プランでは、昼間の電気単価が高く設定されている代わりに、深夜の単価が割安になっています。蓄電池があれば、単価の安い深夜電力を充電しておき、単価の高い朝や夕方の時間帯に放電して使うことで、電力会社から買う電気の総額を抑えることが可能です。

以下は、一般的な時間帯別料金プランにおける単価イメージの比較です。

時間帯 電気料金単価の傾向 蓄電池の活用法
深夜(例:1時〜6時) 安い(約28円/kWh〜) 電力会社から電気を買って充電する
朝・夕方(例:6時〜25時) 高い(約36円/kWh〜) 貯めた電気を放電して使用する

このように、電気を使う時間帯と電気代が高い時間帯が重なっている家庭では、「安い時間に貯めて高い時間に使う」というサイクルを作るだけで経済効果が生まれます。
また、天気が悪く太陽光発電が十分に稼働しない日でも、この深夜電力活用モード(経済モードなど)を利用すれば、確実に電気代削減に貢献できます。

2.2 災害による停電時に電気が使える安心感

昼間不在の家庭にとって、見落としがちなのが「災害時のリスク」です。
もし昼間に大規模な停電が発生した場合、太陽光発電があれば自立運転で電気を使える可能性がありますが、夜帰宅した時には太陽が出ていないため、家は真っ暗になります。

蓄電池があれば、昼間に太陽光で発電した電気や、前日の夜に貯めておいた電気を、停電中の夜間でも使用することができます。

特に以下のようなケースでは、導入のメリットが大きくなります。

  • ペットを飼っており、夏場の空調管理が必要な場合
  • 冷蔵庫の中身を腐らせたくない場合
  • 防犯カメラやセキュリティシステムを常時稼働させたい場合

「家にいないから電気はいらない」のではなく、「家にいないからこそ、自動で家を守ってくれる電源が必要」という考え方もできるのです。

2.3 卒FIT後を見据えたエネルギーの自給自足

太陽光発電を設置してから10年が経過すると、固定価格買取制度(FIT)の期間が終了し、売電単価が大幅に下がります。
FIT期間中は高く売れていた電気が、卒FIT後は1kWhあたり7円〜9円程度まで下落するのが一般的です。

一方で、電力会社から買う電気の価格は、燃料費調整額や再エネ賦課金を含めると30円以上になることも珍しくありません。
この状況下では、「安い単価で売る」よりも「蓄電池に貯めて自分で使い、高い電気を買わない」方が圧倒的にお得になります。

昼間不在で余剰電力が多く出る家庭ほど、その余った電気を安値で売ってしまうのは「もったいない」状態と言えます。蓄電池を導入してエネルギーを自給自足するスタイルへ切り替えることは、将来的な電気代高騰への有効な防衛策となります。

FIT制度終了後の対策については、資源エネルギー庁の解説ページなども参考にしてください。

3. 蓄電池が向かない家庭と向いている家庭の特徴

「昼間は仕事や学校で家に誰もいないから、蓄電池は必要ないのではないか」と考える方は少なくありません。しかし、ライフスタイルや太陽光発電の設置状況、そして「何を重視するか」によって、その判断は大きく分かれます。ここでは、蓄電池の導入で後悔しないために知っておくべき、向き不向きの具体的な特徴を解説します。

3.1 蓄電池の導入をおすすめしない具体的なケース

蓄電池は決して安い買い物ではないため、導入しても経済的なメリットが出にくい家庭にはおすすめできません。特に以下の条件に当てはまる場合は、導入を見送るか、慎重なシミュレーションが必要です。

3.1.1 太陽光発電の発電量が少なく余剰電力が確保できない

蓄電池の主な役割は、太陽光発電で生まれた電気のうち、使いきれなかった「余剰電力」を貯めておくことです。しかし、屋根が小さく太陽光パネルの設置容量が少ない場合や、日当たりが悪く発電量が伸びない家庭では、そもそも貯めるための電気が生まれません。発電量が少なく自家消費だけで手一杯になってしまう家庭では、蓄電池を設置しても稼働率が上がらず、導入費用が無駄になる可能性が高いと言えます。

3.1.2 FIT期間中で売電単価が高く設定されている

固定価格買取制度(FIT)の適用期間中で、電力会社への売電単価が高い家庭も注意が必要です。例えば、売電単価が1kWhあたり30円以上などの高値で売れる場合、わざわざ蓄電池に貯めて自家消費するよりも、そのまま売電して現金収入を得たほうが経済的にお得になります。高い単価で売電できるFIT期間中は、蓄電池に貯めるよりも売電収入を優先したほうが経済メリットは大きくなるため、導入はFIT終了(卒FIT)のタイミングまで待つのが賢明です。

3.1.3 投資対効果(元が取れるか)を最優先に考えている

蓄電池の価格は年々下がってきているとはいえ、設置工事費を含めると150万円〜200万円以上の費用がかかることが一般的です。毎月の電気代削減額だけでこの初期費用を完全に回収するには、15年以上の期間を要するケースも珍しくありません。「絶対に元を取りたい」「損得だけで判断したい」という考えが強い場合は、蓄電池の導入は推奨できないのが現状です。

3.2 昼に電気を使わなくても導入価値があるケース

一方で、昼間に電気を使わない家庭であっても、蓄電池を導入することで大きなメリットを得られるケースがあります。昼間不在であることは、必ずしも蓄電池に向かない理由にはなりません。

以下の表は、昼間不在の家庭における蓄電池導入の判断基準を整理したものです。

判断基準 向いている家庭の特徴 向かない家庭の特徴
太陽光発電の状況 卒FITを迎える、または余剰電力が十分にある 設置容量が小さい、またはFIT期間中で売電単価が高い
電気の使用時間帯 朝・夕方・夜間の使用量が多い 一日を通して電気使用量が極端に少ない
電気料金プラン 深夜電力が安いプランに加入可能 時間帯別料金プランの恩恵が少ない
導入の目的 電気代削減に加え、停電対策を重視 初期費用の回収(経済性)のみを重視

3.2.1 卒FITを迎え売電単価が大幅に下がる家庭

FIT期間が終了すると、売電単価は1kWhあたり7円〜9円程度まで大幅に下落します。一方で、電力会社から買う電気の単価は30円〜40円近くに高騰しています。この状況では、安い単価で売るよりも、蓄電池に貯めて夕方以降の在宅時に自家消費するほうが、家計全体の支出を抑える効果が高くなります。昼間家にいないからこそ、昼に発電した電気を夜に持ち越せる蓄電池の価値が高まるのです。

3.2.2 深夜電力が安いプランを活用し朝晩に電気を使う家庭

昼間不在の家庭は、必然的に朝の支度時間と帰宅後の夜間に電気使用が集中します。ここで有効なのが、深夜の電気代が安くなる「時間帯別料金プラン」と蓄電池の組み合わせです。太陽光発電がない日や雨の日でも、割安な深夜電力を蓄電池に充電しておき、単価が高い朝や夕方の時間帯に放電して使うことで、電気代の差額分を得することができます。

3.2.3 災害時の停電対策を「保険」として割り切れる

近年、台風や地震による大規模停電のリスクが高まっています。蓄電池があれば、停電時でも冷蔵庫や照明、スマホの充電が可能となり、在宅避難を続けることができます。特にペットを飼っている家庭や、小さなお子様・高齢者がいる家庭では、電気はライフラインそのものです。経済的な元が取れるかだけでなく、災害時の安心を買うための「保険」として導入価値を感じられるなら、蓄電池は非常に有効な選択肢となります。

4. 蓄電池以外の選択肢と比較検討する

「昼間は家に誰もいないため電気を使わない」「売電価格が下がっても高額な蓄電池を買うほどではない」と考える家庭にとって、蓄電池の導入は必ずしも正解ではありません。しかし、太陽光発電の余剰電力を安い価格で売り続けることも経済的損失につながります。

ここでは、高額な初期費用をかけずに経済的メリットを得る方法や、蓄電池とは異なるアプローチでエネルギーを有効活用する選択肢について詳しく解説します。

4.1 余剰電力を高く買い取る電力会社への切り替え

固定価格買取制度(FIT)の期間が終了した「卒FIT」の家庭にとって、最も手軽で初期費用がかからない対策が、電力会社の切り替えです。大手電力会社の標準的な買取プランよりも、高い単価で余剰電力を買い取ってくれる新電力会社やプランが存在します。

このサービスの最大の特徴は、新たな設備投資を一切行わずに、契約手続きだけで売電収入を改善できる点にあります。

買取サービスの比較イメージ
比較項目 大手電力会社(継続) プレミアム買取サービス
買取単価 7円〜9円/kWh前後(低め) 10円〜15円/kWh前後(高め)
初期費用 0円 0円
条件 特になし その会社からの電力購入などが条件になる場合が多い
向いている家庭 手続きが面倒な家庭 設備投資せずに少しでも得をしたい家庭

特に、蓄電池の導入費用(100万円〜200万円前後)を回収できる見込みが薄い「電気使用量が少ない家庭」では、無理に自家消費を目指すよりも、高く売れる売却先を見つける方がトータルでの経済メリットが大きくなるケースが多々あります。

4.2 エコキュートを活用して給湯に電気を回す方法

オール電化住宅ですでに「エコキュート」を導入している場合、あるいはガス給湯器からの切り替えを検討している場合、給湯設備を「熱の蓄電池」として活用する方法が非常に有効です。

従来、エコキュートは電気代が安い深夜にお湯を沸かすのが一般的でした。しかし、昨今の電気料金高騰により深夜電力も値上がりしており、一方で太陽光の売電単価は下がっています。この状況下では、売電するはずだった余剰電力を使って昼間にお湯を沸かす方が、光熱費削減効果が高いという逆転現象が起きています。

4.2.1 おひさまエコキュートや昼間シフト機能の活用

最新のエコキュートには、天気予報と連動して太陽光発電が期待できる日に自動で昼間の沸き上げを行う機能(おひさまエコキュートなど)が搭載されています。既設の古いエコキュートであっても、手動で沸き上げ時刻を変更することで対応可能な場合があります。

この方法のメリットは、数百万円する蓄電池を購入しなくても、設定変更だけで余剰電力を自家消費し、高い電気を買う量を減らせる点です。昼間に電気を使わない家庭でも、お湯は夜間に必ず使用するため、無駄なくエネルギーを消費できます。

4.3 電気自動車とV2Hを導入して走る蓄電池にする

もし自動車の買い替え時期が近いのであれば、家庭用蓄電池ではなく「電気自動車(EV)」と「V2H(Vehicle to Home)」の導入を検討する価値があります。これは自動車を単なる移動手段としてだけでなく、大容量の蓄電池として活用する考え方です。

一般的な家庭用蓄電池の容量が5kWh〜12kWh程度であるのに対し、電気自動車のバッテリー容量は40kWh〜60kWh以上と圧倒的に大容量です。それにもかかわらず、容量あたりの単価はEVの方が割安になる傾向があります。

家庭用蓄電池と電気自動車(V2H)の比較
項目 家庭用蓄電池 電気自動車(EV)+ V2H
蓄電容量 小〜中(5〜12kWh) 特大(40〜60kWh以上)
用途 家での電力供給のみ 移動手段 兼 非常用電源
昼間不在時の
活用難易度
容易(自動で充電される) 車が家にないと充電できない
(休日の充電活用がメイン)
補助金 あり 車両・V2H機器ともに手厚い場合が多い

昼間仕事で車を使って外出してしまう家庭の場合、太陽光でEVを充電することは難しいという課題はあります。しかし、週末にまとめて太陽光で充電する、あるいは災害時の避難所兼電源として確保するという目的であれば、据え置き型の蓄電池よりもコストパフォーマンスと安心感で勝る選択肢となります。

5. まとめ

昼間に電気を使わない家庭では、太陽光発電の余剰電力を十分に自家消費できず、蓄電池の導入費用を回収しにくい傾向にあります。しかし、安価な深夜電力を貯めて朝晩に使う節約効果や、災害時の停電対策としての安心感は見逃せないメリットです。

特に卒FIT後であれば、売電単価の下落に伴い、蓄電池によるエネルギーの自給自足が有効な選択肢となります。導入を迷う場合は、エコキュートやV2Hといった他の設備の活用や、電力会社のプラン見直しもあわせて検討し、ご家庭のライフスタイルに最適な運用方法を選びましょう。

>石川企画合同会社

石川企画合同会社

創業2011年
累計 実績8,000件超
太陽光・蓄電池・EV・オール電化のトータル施工
全国対応
建設業:茨城県知事許可(般-03)第37444号
電気工事業:茨城県(西)登録 第20210005号

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