【出力オーバーに注意】蓄電池導入前に回避!停電時に失敗しないための対策と選び方

  • 2026年1月9日
  • 2026年1月9日

停電時に蓄電池が突然停止する「出力オーバー」は、導入前に必ず知っておくべき重大な注意点です。本記事では、エアコンや冷蔵庫などの家電使用時に発生する「突入電流」のリスクや、定格出力を超えないための具体的な対策を徹底解説します。また、ご家庭に最適な蓄電池を選ぶために不可欠な、特定負荷型と全負荷型の違いや200V対応の必要性についても分かりやすくまとめました。仕組みを正しく理解し、余裕のあるスペック選定と使い方の工夫を行うことで、非常時でも電気を安定して使い続けることが可能になります。

1. 蓄電池の出力オーバーとはどのような現象か

蓄電池を導入する際、多くの人が「容量(どれだけ電気を貯められるか)」を重視しがちですが、実はそれ以上に重要なのが「出力(一度にどれだけ電気を使えるか)」です。停電時に「蓄電池があるのに電気が使えない」というトラブルの多くは、この出力オーバーが原因となっています。

1.1 蓄電池が供給できる電力の限界を超えた状態

蓄電池の出力オーバーとは、蓄電池が一度に供給できる電力の上限(定格出力)を超えて、家電製品を使用しようとした状態を指します。家庭の分電盤にあるブレーカーには「40A」や「60A」などの契約アンペア数があり、一度に多くの電気を使うとブレーカーが落ちて電気が遮断されます。蓄電池の出力オーバーもこれと非常によく似た現象です。

例えば、定格出力が「1.5kW(1500W)」の蓄電池を使用している場合、合計で1500Wまでの家電しか同時に動かすことができません。この状態で、消費電力が1000Wの電子レンジと、1200Wのドライヤーを同時に使おうとすると、合計2200Wとなり、蓄電池の限界を超えてしまいます。

1.2 出力オーバーになるとどうなるのか

実際に停電が発生し、蓄電池が自立運転モード(非常用電源としての稼働)になっているときに出力オーバーが発生すると、以下のような現象が起こります。

  • 蓄電池からの電力供給が安全装置によって強制的に停止する
  • 家中の電気(または蓄電池に接続されている特定の部屋の電気)が突然消える
  • 蓄電池の操作モニターやパワーコンディショナにエラーコードが表示される

一度出力オーバーで停止してしまうと、使用している家電製品のスイッチを切って消費電力を減らし、蓄電池を再起動(復旧操作)するまで電気は使えません。夜間の停電中にこれが起きると、真っ暗な中で操作をしなければならず、非常に不安な状況に陥ってしまいます。また、頻繁な出力オーバーは精密機器や蓄電池本体に負担をかける可能性もあるため、注意が必要です。

1.3 「容量」と「出力」の違いを理解する

出力オーバーを防ぐためには、混同しやすい「容量」と「出力」の違いを正しく理解しておくことが不可欠です。これらはよく「水」に例えて解説されます。

用語 単位 イメージ(水に例えると) 意味
容量 kWh(キロワットアワー) タンクの大きさ(水の量) 電気を「どれだけ長く」使えるか。
数値が大きいほど、長時間家電を動かせる。
出力 kW(キロワット) 蛇口の太さ(水の勢い) 電気を「一度にどれだけ強く」使えるか。
数値が大きいほど、多くの家電を同時に動かせる。

いくら大容量(大きなタンク)の蓄電池を持っていても、出力(蛇口)が小さければ、一度にたくさんの水出すことはできません。つまり、「大容量だから安心」と思っていても、出力が小さければ、停電時に電子レンジやエアコンが動かない可能性があるのです。

2. 停電時に出力オーバーが発生する主な原因と注意点

蓄電池を導入していれば、停電時でも電気が使えて安心だと考えている方は多いでしょう。しかし、いざ停電になった際に蓄電池からの電気が突然止まってしまう「出力オーバー」というトラブルが後を絶ちません。

これは蓄電池が故障したわけではなく、蓄電池が一度に供給できる電力の限界(定格出力)を超えて電気を使おうとしたために、安全装置が働いて給電が停止する現象です。停電時に慌てないためにも、出力オーバーが発生する主な2つの原因を正しく理解しておきましょう。

2.1 同時に多くの家電製品を使用している

最も一般的な原因は、複数の家電製品を同時に使用することで、その合計消費電力が蓄電池の出力上限を超えてしまうケースです。

一般的な家庭用蓄電池の自立運転時(停電時)の定格出力は、1.5kVA(1,500W)から3.0kVA(3,000W)程度に設定されている製品が多くあります。普段通りに生活しようとして、照明をつけながらテレビを見て、さらに電子レンジや炊飯器を使うと、あっという間にこの上限を超えてしまいます。

特に、熱を発生させる家電製品(IHクッキングヒーター、ドライヤー、電気ケトルなど)は消費電力が非常に大きいため注意が必要です。以下に、主な家電製品の消費電力の目安をまとめました。

家電製品 消費電力の目安 備考
IHクッキングヒーター 1,400W ~ 3,000W 最大火力時は非常に高出力
電子レンジ 1,000W ~ 1,300W 温め開始時に高くなる傾向
ドライヤー 1,200W 前後 TURBO(強)使用時
電気ケトル 1,200W ~ 1,300W 沸騰時は常に高出力
炊飯器 1,100W ~ 1,300W 炊飯中(特に炊き始め)
エアコン 100W ~ 2,000W 設定温度と室温の差が大きいと高出力

例えば、定格出力が1,500Wの蓄電池を使用している場合、電子レンジ(約1,300W)を使っている最中にドライヤー(約1,200W)のスイッチを入れると、合計2,500Wとなり出力オーバーで停止します。

停電時は、経済産業省 資源エネルギー庁の省エネポータルサイトなどで紹介されている消費電力の大きい機器を把握し、一度に使う家電は1つか2つに絞る工夫が必要です。

2.2 起動時に大きな電力が必要な突入電流

もう一つの見落としがちな原因が「突入電流(始動電流)」です。これは、家電製品のスイッチを入れた瞬間に、定格消費電力の数倍もの大きな電流が一時的に流れる現象を指します。

特にモーターを搭載している家電製品で発生しやすく、たとえカタログ上の消費電力が蓄電池の定格出力内であっても、起動した瞬間のピーク値が蓄電池の限界を超えてしまうと出力オーバーとなります。

突入電流が発生しやすい主な家電は以下の通りです。

  • エアコン:起動時に定格の数倍の電力が必要になることがあります。
  • 冷蔵庫:コンプレッサーが動き出す瞬間に大きな電流が流れます。
  • 掃除機:スイッチを入れた瞬間にモーターが急回転するため負荷がかかります。
  • 洗濯機:脱水などの回転開始時に負荷が高まります。
  • 井戸ポンプ:汲み上げ開始時に大きな始動電流が発生します。

多くの蓄電池には、数秒間だけなら定格出力を超えても耐えられる「最大出力(サージ電力)」という仕様が設けられていますが、突入電流がその許容範囲や時間を超えると給電が遮断されます。

停電時にこれらの家電を使う場合は、他の家電の電源を切ってから一つずつスイッチを入れるなど、蓄電池にかかる負荷が重ならないように操作することが重要です。

3. 出力オーバーを回避するための蓄電池の選び方

蓄電池を導入する際、多くの人が「容量(kWh)」ばかりを気にしがちですが、停電時に失敗しないために最も重要なのは「定格出力(kWまたはkVA)」です。

容量がどれだけ大きくても、一度に出せる電気の量(出力)が小さければ、使いたい家電を同時に動かすことができず、頻繁にブレーカーが落ちるような状態(出力オーバー)になってしまいます。ここでは、出力オーバーを防ぐための具体的な選び方を解説します。

3.1 定格出力を確認して余裕を持たせる

蓄電池には、安定して電気を供給し続けられる上限値である「定格出力」があります。停電時に使用したい家電製品の消費電力の合計が、この定格出力を超えないように選ぶ必要があります。

特に注意が必要なのが、家電が動き出す瞬間に流れる「突入電流(起動電力)」です。モーターを搭載している冷蔵庫やエアコンなどは、起動する瞬間に通常運転時の数倍もの電力を必要とします。この一瞬の負荷で出力オーバーが発生し、蓄電池が停止してしまうケースが非常に多いのです。

以下の表を目安に、使いたい家電の消費電力と起動電力を把握し、余裕のある出力を持つ機種を選定しましょう。

主な家電製品の消費電力と起動電力の目安
家電製品 定常時の消費電力 起動時の消費電力(目安)
冷蔵庫(450Lクラス) 約100W ~ 300W 約1,000W ~ 1,500W
エアコン(10畳用) 約500W ~ 1,000W 約1,500W ~ 2,000W
液晶テレビ 約100W ~ 200W 約200W程度
LED照明 約10W ~ 40W ほぼ変動なし
スマホ充電 約10W ~ 20W ほぼ変動なし

このように、冷蔵庫などは起動時に大きなパワーを使います。例えば、定格出力が2.0kW(2000W)の蓄電池の場合、電子レンジ(約1300W)を使っている最中に冷蔵庫のモーターが起動すると、合計で出力上限を超えてしまう可能性があります。

参考:主な電気機器のアンペアの目安|東京電力エナジーパートナー

3.2 特定負荷型と全負荷型の違いを理解する

蓄電池には、停電時に電気を供給する範囲によって「特定負荷型」と「全負荷型」の2種類があります。この違いは、出力オーバーのリスク管理にも大きく関わります。

特定負荷型と全負荷型の比較
タイプ 特定負荷型 全負荷型
電気の供給範囲 あらかじめ指定した特定の回路(部屋)のみ
(例:リビングの冷蔵庫と照明だけ)
家中のすべてのコンセント・照明
出力オーバーのリスク 低い
使える家電が限られるため、使いすぎを防ぎやすい。
高い(低出力製品に注意)
普段通り多くの家電を使いすぎてしまい、容量不足や出力超過になりやすい。
こんな人におすすめ 必要最低限の家電だけ動けば良い人。
導入コストを抑えたい人。
停電時も普段に近い生活をしたい人。
家族が多く、複数の部屋で電気を使いたい人。

「全負荷型」は非常に便利ですが、家中の電気が使える分、無意識にドライヤーや炊飯器などを同時に使ってしまい、出力オーバーを引き起こしやすい傾向にあります。全負荷型を選ぶ場合は、特に高出力(4.0kVA以上など)のモデルを選ぶか、停電時の家電利用ルールを家族で決めておくことが重要です。

3.3 200V対応の蓄電池が必要かどうか検討する

IHクッキングヒーター、エコキュート、大型のエアコン(14畳以上など)は、一般的に200V(ボルト)の電源を使用しています。しかし、多くの一般的な蓄電池は100V出力にしか対応していません。

もし、オール電化住宅などで「停電時もお湯を沸かしたい」「料理をしたい」「リビングの大型エアコンを使いたい」と考えるなら、必ず200V対応の蓄電池を選ぶ必要があります。

ただし、200Vの家電は消費電力が非常に大きいため、蓄電池への負荷も高くなります。

  • IHクッキングヒーター:最大3.0kW(3000W)を使用することもあり、一般的な蓄電池では即座に出力オーバーになる可能性があります。
  • エコキュート:お湯を沸かす動作は大きな電力を使います。停電時は「お湯を使う(出湯)」だけにし、「お湯を作る(沸き上げ)」動作は控える設定が必要な場合もあります。

200V対応蓄電池を導入する場合でも、定格出力が3.0kVAなどのギリギリのスペックでは安定稼働が難しいため、余裕を持ったハイスペックな機種(5.9kVAなど)を検討することをおすすめします。

4. 導入後に停電した際の出力オーバー対策

最適な蓄電池を選んで設置したとしても、停電時の使い方を誤れば出力オーバー(過負荷)によるシステム停止は起こり得ます。停電という非常時にこそ、電気の使いすぎを防ぎ、安定して電力を供給し続けるための運用知識が不可欠です。ここでは、実際に停電が起きた際にユーザーができる具体的な対策と手順を解説します。

4.1 消費電力が高い家電の同時使用を避ける

停電時に最も確実な出力オーバー対策は、消費電力の大きな家電製品を同時に使用しないことです。特に、特定負荷型や全負荷型に関わらず、一般的な家庭用蓄電池の自立運転時の最大出力は、平常時よりも低く設定されているケースが多くあります(例:1.5kVA〜3.0kVAなど)。

「熱」を発生させる家電や「モーター」で動く家電は、想像以上に多くの電力を消費します。以下の表を参考に、停電時はこれらを同時に使わないよう管理することが重要です。

家電製品 目安の消費電力 停電時の使用注意点
IHクッキングヒーター 1,000W〜3,000W 最大火力は避け、他の家電を止めてから使用する。
電気ケトル・ポット 1,000W〜1,300W 短時間だが負荷が高い。炊飯器などと同時に使わない。
ドライヤー 1,000W〜1,200W 「強」モードは消費電力が高い。「弱」で使用するか控える。
電子レンジ 1,000W〜1,300W 温め時は定格消費電力が高い。解凍モードなどを活用する。
エアコン(始動時) 300W〜2,000W以上 起動時に最大パワーを使うため、複数台の同時起動は避ける。

4.2 突入電流を考慮して時間差で稼働させる

家電製品の中には、スイッチを入れた瞬間やモーターが動き出す瞬間に、通常運転時の数倍もの電流が流れるものがあります。これを「突入電流(始動電流)」と呼びます。

例えば、冷蔵庫やエアコン、洗濯機、掃除機などがこれに該当します。蓄電池の出力に余裕があるように見えても、これらの家電が一斉に動き出すと瞬間的に定格出力を超え、ブレーカーが落ちたり蓄電池が停止したりする原因になります。

4.2.1 復旧直後の「一斉起動」に注意

停電から蓄電池による給電に切り替わった際、あるいは一時的に停止していた蓄電池を再起動した際は、接続されている家電が一斉に動き出そうとします。これを防ぐために、一度コンセントを抜くかスイッチを切り、消費電力の小さいものから順番に、時間をおいて稼働させるようにしましょう。

4.3 室内モニターでリアルタイムの発電・消費状況を確認する

多くの家庭用蓄電池には、現在の「発電量」「蓄電残量」「消費電力」を表示する室内モニター(リモコン)やスマホアプリが付属しています。停電時はこのモニターをこまめに確認する癖をつけましょう。

特にチェックすべきは「現在の消費電力(kW)」です。この数値が蓄電池の「自立出力上限(例:3.0kW)」に近づいている場合は、黄色信号です。すぐに不要な照明を消したり、テレビを消したりして負荷を下げてください。

4.4 万が一出力オーバーで停止した場合の復旧手順

対策をしていても、うっかりドライヤーを使ってしまったなどで出力オーバーが発生し、電気が消えてしまうことがあります。その際は慌てずに以下の手順で復旧作業を行ってください。

  1. 使用していた家電の電源を切る

    まず最初に、出力オーバーの原因となったと思われる家電製品(ドライヤー、電子レンジ、ヒーターなど)のスイッチを切るか、コンセントを抜きます。これをせずに蓄電池を再起動しても、またすぐに落ちてしまいます。

  2. 蓄電池システムの再起動を行う

    多くの機種では、一定時間経過後に自動復帰するか、室内モニターの操作で「運転再開」や「リセット」を行えます。機種によっては、蓄電池ユニット本体のブレーカー操作が必要な場合もあります。

  3. 段階的に電気を使い始める

    電気が復旧したら、先ほどよりも少ない負荷になるよう、必要最低限の家電から順に使い始めます。

なお、太陽光発電と連携している場合、天候が急変して発電量が落ちた瞬間に、蓄電池からの放電だけでは家電の消費電力を賄いきれずに出力オーバーになるケースもあります。曇りの日や夕方は、晴天時よりもさらに節電を意識した運用が求められます。

5. まとめ

蓄電池の出力オーバーは、停電時に定格出力を超える家電を同時に使用したり、冷蔵庫やエアコンの起動時に発生する突入電流によって引き起こされます。

いざという時に電気が使えない事態を避けるためには、導入前にご家庭の最大消費電力を把握し、余裕のある定格出力を持つ機種を選定することが不可欠です。特に、家全体をカバーする全負荷型か特定負荷型か、200V対応が必要かを慎重に検討することが失敗しないポイントとなります。

適切な機種選びに加え、停電時は一度に使う家電を制限するなどの対策を講じることで、安心できるバックアップ電源を確保しましょう。

>石川企画合同会社

石川企画合同会社

創業2011年
累計 実績8,000件超
太陽光・蓄電池・EV・オール電化のトータル施工
全国対応
建設業:茨城県知事許可(般-03)第37444号
電気工事業:茨城県(西)登録 第20210005号

CTR IMG